ホンダは、早くから安全技術の研究開発に取り組んでいる。 安全とはおもに、ライダーの教育などの「ゼロ次安全」、事故を未然に防ぐ「一次安全(アクティブセーフティー)」、事故がおこったときに傷害を軽減する二次安全(パッシブセーフティー)などに分類されるとして、ゼロ次安全対策には、交通教育センターの設置など、一次安全対策には前・後輪連動ブレーキシステム(CBS)やアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)などを開発した。 そして、二次安全対策として、1990年からバイク用エアバッグシステムの研究を開始し、2005年に世界で初めて量産車に適用できるバイク用エアバッグシステムの開発に成功した。 バイク用エアバッグシステムは、おもに次の3つの部分で構成されている。

1)エアバッグモジュール  エアバッグ本体と、エアバッグ展開用の気体を供給するインフレーターを収納する。ライダーの前部に配置される。

2)加速度センサー  前方向からの衝撃加速度を検知する。フロントフォーク部左右に合計4個装備される。

3)エアバッグECU  衝突判定の演算と、システム機能部品の診断をおこなう。エアバッグモジュール右側に取り付けられる。

エアバッグは、次のような手順で作動する。前面衝突が起こると、加速度センサーが衝撃加速度を検知し、加速度データをエアバッグECUに送る。エアバッグECUは、そのデータをもとに、エアバッグを作動するかしないかを瞬時に判断する。 作動が必要と判断されたら、インフレーターに点火電流を送り、インフレーターがエアバッグ展開用の気体を発生させ、エアバッグ本体を展開させる。 加速度センサーの衝撃加速度検知から、エアバッグが展開するまでは、約0.15秒と極めて短い時間であり、これは人がまばたきをする時の時間(約0.2秒)に相当する。エアバッグは、ライダーが前方へ投げ出される運動エネルギーを吸収し、バイクからの離脱速度を抑制する。エアバッグが瞬時に展開することで、ライダーが相手車両や路面などとの打撃で傷害を負うリスクを軽減するのである。
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